ほとんどのブヨによる被害は、適切な応急処置と市販のステロイド軟膏で、時間をかければ治癒に向かいます。しかし、中には「たかが虫刺され」と軽視していると、深刻な事態に発展するケースも存在します。自己判断で悪化させてしまう前に、速やかに皮膚科などの医療機関を受診すべき「危険なサイン」を知っておくことは、非常に重要です。まず、受診を検討すべき第一の目安は、「症状の強さ」です。噛まれた部分の腫れが異常にひどく、例えば足首を噛まれただけで足全体がパンパンに腫れ上がり、歩行が困難になるほどの痛みがある場合や、水ぶくれが広範囲に多発している場合は、炎症が非常に強く起きている証拠です。市販薬では対応しきれない可能性があるため、専門医の診断を仰ぐべきです。次に、最も注意すべきなのが、「全身に現れる異常」です。これは、強いアレルギー反応である「アナフィラキシーショック」の兆候である可能性があります。噛まれた箇所の症状だけでなく、全身にじんましんが広がってきた、息苦しさや動悸、めまい、吐き気、腹痛を感じる、意識が朦朧とする、といった症状が現れた場合は、命に関わる緊急事態です。ためらわずに救急車を呼ぶか、最寄りの救急外来を受診してください。過去にブヨに噛まれてひどい症状を経験したことがある人は、特にこのリスクが高まります。また、「感染の兆候」が見られる場合も、直ちに病院へ行くべきです。掻き壊した傷口から細菌が侵入し、患部が熱を持ってズキズキと痛む、黄色い膿が出てくる、といった場合は、二次感染を起こしています。抗生物質による治療が必要となります。皮膚科では、症状の重さに応じて、市販薬よりも強力なステロイド外用薬や、かゆみを抑えるための抗ヒスタミン薬の内服薬、感染を起こしている場合は抗生物質などが処方されます。特に、子供やお年寄りは症状が重くなりやすいため、少しでも心配な点があれば、早めに受診することが大切です。「いつもと違う」「何かおかしい」と感じたら、それは体が発するSOSサイン。専門家の力を借りることをためらわないでください。
病院へ行くべき危険なサインと専門的な治療法