毎年夏になるとどこからともなく現れて、私たちを悩ませるあぶ。彼らの発生源と、活動が最も活発になる時期を知ることは、効果的な予防策を立てる上で非常に重要です。あぶの一生は、水と深く関わっています。多くの種類のあぶは、水田や湿地、池や沼、緩やかな流れの川といった、湿った土壌や水中に卵を産み付けます。卵から孵った幼虫は、水中の泥の中や、湿った土の中で、他の水生昆虫や有機物を食べて成長します。この幼虫の期間は種類によって異なり、数か月から、場合によっては二、三年にも及ぶことがあります。そして、十分に成長した幼虫は蛹になり、やがて成虫となって地上へと飛び立っていくのです。つまり、あぶの発生源は、家の周りの側溝や水たまりといった小さなものではなく、もっと規模の大きい、自然環境の中にあることが多いのです。これが、蚊のように発生源を個人の努力でなくすことが難しい理由です。彼らが成虫として活動する時期は、主に初夏から秋にかけてですが、そのピークは一般的に七月から九月の真夏です。気温が高く、日差しの強い日中に最も活発に活動します。特に、朝方や夕方よりも、日が高く昇った午前中から昼過ぎにかけて、吸血活動が盛んになります。雨の日や曇りの日、気温が低い日には、活動が鈍くなる傾向があります。したがって、あぶの被害を避けたいのであれば、真夏の炎天下での川遊びやハイキングは、最もリスクが高い時間帯と言えます。もし活動するのであれば、比較的あぶの活動が少ない早朝や夕方を選ぶ、あるいは、あぶの発生源となる水辺から離れた場所を選ぶといった工夫が必要になります。彼らがいつ、どこで活発になるのかを知ることで、私たちはあぶとの遭遇を計画的に避け、より安全に夏のアウトドアを楽しむことができるようになるのです。