専門業者による白蟻駆除において、古くから主流とされてきたのが「バリア工法(土壌処理・木部処理)」です。その名の通り、薬剤の力で家の床下に見えない「バリア(障壁)」を築き、地中から侵入してくる白蟻を撃退し、すでに侵入している白蟻を駆除するという、非常に直接的で強力な駆除方法です。バリア工法の施工は、主に二つのプロセスから成り立っています。一つは、「土壌処理」です。これは、建物の基礎の内側や束石の周りの土壌表面に、専用の薬剤をムラなく散布していく作業です。これにより、地中に潜む白蟻が、家の木材部分に到達するのを防ぐ薬剤の層を形成します。もう一つが、「木部処理」です。これは、床下にある土台や大引、束柱といった、建物を支える重要な木材部分に、薬剤を直接吹き付けたり、注入したりする作業です。木材の表面に薬剤をコーティングすることで、白蟻による食害を防ぎ、すでに木材内部に侵入している白蟻も駆除します。特に被害が深刻な箇所には、ドリルで小さな穴を開け、そこから内部に薬剤を高圧で注入する「穿孔注入処理」が行われることもあります。このバリア工法の最大のメリットは、その「即効性」と「予防効果」の高さにあります。施工後すぐに、薬剤に触れた白蟻を駆除する効果が発揮され、その効果は薬剤が残存する限り(通常は約5年間)、持続的に家を守り続けます。一方で、デメリットとしては、床下の構造(コンクリートで覆われているなど)によっては施工が難しい場合があることや、薬剤の匂いが気になる方、あるいは化学物質に過敏な方がいるご家庭では、慎重な検討が必要となる点が挙げられます。家の構造や被害状況、そしてご家族の健康への配慮を総合的に考慮し、専門家と相談の上で選択することが重要です。