エビみたいな虫は無害?アレルギーや健康への影響は
ピョンピョンと跳ねるエビみたいな虫、トビムシ。その姿は不快極まりないものですが、人を刺したり、病気を媒介したりする直接的な害はないと聞くと、少し安心するかもしれません。しかし、「無害だから放置しても良い」と考えるのは早計です。トビムシの存在は、それ自体が問題なのではなく、私たちの健康を脅かす別の問題が潜んでいることを示す、重要な警告サインなのです。その問題とは、ずばり「カビ」の存在です。トビムシの主食はカビであるため、彼らがいるということは、その場所にカビが繁殖していることの動かぬ証拠です。カビの胞子は非常に小さく、空気中に浮遊しています。これを人間が吸い込むことで、アレルギー性鼻炎や気管支喘息、アトピー性皮膚炎といった、様々なアレルギー疾患を引き起こしたり、症状を悪化させたりする原因となります。特に、抵抗力の弱い小さな子供や高齢者、アレルギー体質の人にとっては、深刻な健康被害に繋がりかねません。つまり、トビムシは「家の空気が汚染されていますよ」と、その小さな体で教えてくれるメッセンジャーの役割を果たしているのです。さらに、トビムシを放置することで、二次的な害虫問題を引き起こす可能性もあります。それは、トビムシを餌とする、より厄介な害虫を呼び寄せてしまうことです。例えば、「ツメダニ」というダニは、トビムシなどの小さな虫を捕食します。このツメダニは、人を刺すことがあり、刺されると一週間以上も続く強いかゆみに悩まされます。トビムシがたくさんいる環境は、ツメダニにとっても餌が豊富な魅力的な場所となり、結果として人を刺す害虫まで増やしてしまうことになりかねません。トビムシそのものは無害でも、彼らが好む環境を放置することは、カビや他の害虫による健康リスクを高めることに直結します。