我が家は、築30年になる木造の一戸建てです。数年前から、家のあちこちに小さなガタが来始めていましたが、「まあ、年数も経っているし仕方ないか」と、あまり気に留めていませんでした。しかし、ある梅雨の時期、その考えが甘かったことを思い知らされる出来事が起こります。畳の部屋で寝転がっていると、床下から、何かが木をかじるような、「カリカリ…カリカリ…」という、微かな、しかし耳障りな音が聞こえてきたのです。最初は気のせいかと思いましたが、その音は日を追うごとに、少しずつ大きくなっているような気がしました。インターネットで恐る恐る「床下 異音」と検索すると、真っ先に目に飛び込んできたのが「白蟻」の二文字でした。私は、血の気が引くのを感じながら、すぐに地元の白蟻駆除業者に無料診断を依頼しました。数日後、作業着を着た専門のスタッフの方がやってきて、床下収納の扉を開け、暗い床下へと潜っていきました。待つこと30分。埃まみれで出てきたスタッフの方の顔は、神妙な面持ちでした。そして、見せられたタブレットの画面に、私は言葉を失いました。そこには、我が家の土台となる木材が、まるでスポンジのようにスカスカになり、その表面を無数の白い虫がうごめいている、衝撃的な映像が映し出されていたのです。「かなり進行していますね。これはイエシロアリです。放っておくと、数年で家が傾く可能性もあります」。スタッフの方の言葉に、私はただ愕然とするばかりでした。見積もりは25万円。決して安い金額ではありませんでしたが、私は迷うことなく、その場で駆除をお願いしました。後日、薬剤の散布作業が行われ、あの不気味な音はぴたりと止みました。この経験から学んだのは、家が出す小さなサインを見逃してはいけない、ということです。あの時、あの音を無視していたら、今頃我が家はどうなっていたか。考えるだけで、ぞっとします。
我が家の床下から聞こえた恐怖の音