蜂の巣駆除において最も重要な要素の一つがポジショニングつまり立ち位置であり、ここでスプレーの性能である射程距離と自然条件である風向きを正しく計算できるかどうかが駆除の成功と失敗、ひいては作業者の生死を分けると言っても過言ではありません。多くの蜂用スプレーは「最大10メートル噴射」などと強力な飛距離をアピールしていますが、これはあくまで無風状態での実験値であり実際の屋外環境では微風があるだけでも薬剤は大きく流され、有効射程距離は半分以下の3メートルから4メートル程度にまで落ち込むことが一般的です。もし風下から巣に向かってスプレーを噴射してしまった場合、薬剤は自分の方へと逆流してきて目や喉を直撃し激しい痛みや咳き込みで身動きが取れなくなる一方で、巣にはほとんど薬剤が届かず刺激を受けた蜂たちが無傷のまま一斉に襲いかかってくるという最悪のシナリオを招くことになります。したがってスプレーを使用する際は必ず風上に立ち、自分の体臭や薬剤の匂いが巣の方へと流れる位置を確保することが鉄則ですが、蜂は動く黒い物体に反応する習性があるため風上であっても巣の正面に立つことは避け、可能な限り障害物の陰や逃走ルートを確保できる場所から狙いを定める必要があります。またスプレーの噴射力は最初が最も強く徐々に弱まっていくため、新品のスプレーを2本以上用意し、一本目が切れそうになったら間髪入れずに二本目を噴射できる体制を整えておくことも重要であり、ケチって使いかけのスプレーで挑むことは弾切れを起こして反撃を許す致命的なミスにつながります。蜂駆除は単なる害虫退治ではなく命がけの戦闘であることを認識し、風を読み距離を測り万全の装備と計画を持って挑む慎重さが求められるのです。