趣味のガーデニングに没頭していたある日の午後、私は自分の不注意が招いた恐ろしい体験を通じて、キアシナガバチという生物の恐ろしさを身をもって知ることになりました。その日は、伸びすぎた生け垣の枝を整理しようと、無造作に剪定バサミを茂みの中に差し入れていました。枝を数本切り落とした瞬間、目の前の葉が激しく揺れ、同時に「ブーン」という重低音のような羽音が周囲に響き渡ったのです。驚いて手を止めたとき、茂みの奥から鮮やかな黄色の体色を持つ大きなハチが数匹、私の顔の周りを猛烈な勢いで旋回し始めました。それが、キアシナガバチの衛兵バチによる激しい威嚇でした。私はパニックになりかけましたが、以前に「ハチに遭遇したら動いてはいけない」という話を聞いていたことを思い出し、石のように静止しました。ハチは数分間、私の吐息さえも監視するかのように空中を舞い続けましたが、やがて興奮が収まったのか、一羽、また一羽と生け垣の奥へと消えていきました。ハチが去った後、恐る恐る茂みの隙間を覗き込むと、そこにはソフトボールよりも一回り大きな、灰色のキアシナガバチの巣が隠されていました。六角形の巣穴には白い蓋がいくつも並び、その上を多数のハチが這い回っている光景は、まさに戦慄の瞬間でした。もしあの時、気づかずに巣を直接ハサミで叩いていたら、今頃どうなっていたかと思うと背筋が凍る思いです。この体験から学んだ最大の教訓は、庭の手入れをする前には必ず「巣の有無を確認する」というプロセスが必要だということです。キアシナガバチは、必ずしも見えやすい軒下だけに巣を作るわけではありません。むしろ、日光が適度に遮られる生け垣の内側や、放置されたプランターの裏といった死角こそが、彼らにとっての理想的な城となるのです。対策としては、作業前に長い棒などで茂みを軽く叩き、ハチの反応がないかを確認する「事前点検」が極めて有効です。また、キアシナガバチは黒い色に対して攻撃性を高める習性があるため、庭仕事の際は白っぽい服装を選び、香水などの強い匂いを避けることも自己防衛に繋がります。万が一、巣を見つけてしまった場合は、決して自分で解決しようとせず、速やかに専門の業者へ相談することが正解です。キアシナガバチの毒はアナフィラキシーショックを引き起こすリスクもあり、素人が防護服なしで近づくのは自殺行為に等しいからです。庭は私たちにとっての癒やしの空間ですが、同時に野生の命が潜む場所でもあることを忘れず、適切な距離感を持って接することの重要性を痛感した出来事でした。
庭の植え込みに潜むキアシナガバチの巣の恐怖と対策