羽アリの大量発生は白蟻被害の危険信号
春の終わりから夏にかけての、蒸し暑い日の夕方。網戸や窓ガラスに、おびただしい数の羽のついた虫が群がっている。多くの人がこれを単なる不快な虫の大量発生と片付けてしまいますが、その羽アリがもし「白蟻」であったなら、それはあなたの家の床下で、静かに、しかし深刻な被害が進行していることを告げる、極めて危険な警報です。家屋に侵入する白蟻は、その一部が新たな巣を作るために、特定の時期に一斉に羽アリとなって飛び立つ習性があります。つまり、あなたが目撃しているその大群は、あなたの家、あるいはご近所の家から飛び立った、白蟻の繁殖部隊なのです。普通の黒アリの羽アリとの見分け方は、いくつかのポイントを知っていれば比較的簡単です。まず、胴体を見てください。黒アリの羽アリは、胸と腹の間に明確な「くびれ」がありますが、白蟻の羽アリは寸胴でくびれがありません。次に、羽の大きさです。黒アリは前後の羽の大きさが異なりますが、白蟻は四枚ともほぼ同じ大きさで、簡単に体から取れやすいという特徴があります。もし、家の周りで大量の羽が落ちているのを見つけたら、それも白蟻のサインかもしれません。羽アリの発生は、巣が十分に成熟し、繁殖能力が飽和状態にあることを意味します。彼らは数時間でいなくなりますが、問題は彼らを生み出した、地中に潜む巨大なコロニーの存在です。羽アリを見つけたということは、もはや様子を見ている段階ではありません。それは、見えない敵からの明確な宣戦布告。一刻も早く専門家による床下調査を行い、被害の全貌を明らかにすることが、あなたの家を倒壊の危機から救うための、唯一にして絶対の選択肢となるのです。