都市部のマンションにおいて、ベランダは鳩にとって「天敵のカラスから身を守れる安全なシェルター」として認識されています。特に高層階や、死角となる室外機の設置場所などは、絶好の営巣ポイントです。管理組合や入居者にとって、鳩の卵が産まれるという事態は、単なる一世帯の不快感にとどまらず、マンション全体の衛生環境や資産価値を低下させる深刻な問題に発展しかねません。卵を産ませないための鉄則、その第一は「ベランダを常に人の気配がする生活空間にする」ことです。鳩は非常に警戒心が強く、頻繁に人の出入りがある場所や、物が整理整頓された場所には巣を作りません。反対に、長期間放置された段ボールや、使わなくなった植木鉢などが置かれたベランダは、鳩にとってこれ以上ない「安心できる隠れ家」となります。もし、ベランダに小枝が一本でも落ちていたら、それは鳩があなたをテストしているサインです。すぐに片付け、その場所を水洗いして、人の手が入っていることを示してください。第二の鉄則は「物理的な遮断を躊躇しない」ことです。もし、頻繁に鳩が手すりに止まるようになったら、それは産卵場所を探している偵察行動です。この段階で、手すりに剣山状のスパイクを設置したり、室外機の隙間に防鳥ネットを張ったりするなどの対策を講じるべきです。「見た目が悪くなるから」と躊躇している間に、卵を産まれてしまえば、その後数ヶ月はネットを張ることもできなくなります。第三の鉄則は「共有部を含めた組織的な対応」です。一戸が卵を産ませないように頑張っても、隣の部屋で卵が産まれてしまえば、そこから発生したダニや病原菌は風に乗って流れてきます。マンション全体で鳩の飛来状況を共有し、管理会社を通じて共有部の徹底した清掃と防除を行うことが不可欠です。万が一、卵を見つけてしまった場合は、速やかに管理組合に報告してください。個人で無理に解決しようとしてトラブルになるのを防ぐためです。鳩の卵は、一度許容してしまうと「このマンションは産卵しやすい」という情報を鳩のコミュニティに広めてしまう結果となります。一世帯ごとの高い防犯意識ならぬ「防鳩意識」が、清潔で格式高いマンション環境を維持するための、最も強力な武器になるのです。
マンションのベランダに鳩の卵を産ませない管理の鉄則